「観花」宜舟 Gishu 江口宜隆 Eguchi Yoshitaka

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カテゴリ:随想( 23 )


2016年 12月 28日

言葉と経験

 もう何ヶ月も花鋏を握っていない。
 実は花をはじめた頃から花を切るという行為には懐疑的であった。

 先人達は宗教的な尊敬をもって花を見、花を切り、花を生けてきた。
 僕もこの思想のもと、花を見、花を切り、花を生けてきた。
 しかし、それは観念的な言葉の理解であって経験ではない。
 騙し騙し花を生けてきたといってよい。

 師の言葉が僕の経験となり、再び花鋏を握る時はいつだろう。
 それまでは陶淵明のように破れた籬の前に座して花と語ろうと思う。
 経験が言葉を定義できるまで。

 古人が云う「草木みな物言う」と。


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by eguchi_gisyu | 2016-12-28 21:58 | 随想
2016年 04月 01日

春琴抄

 「春琴抄」「細雪」「陰翳礼讃」。
 どれも題の「カッコヨサ」に引かれ買い、
 どれも読破できなかった本である。

 先日、ふと立ち寄った本屋。
 ふと「春琴抄」に目が留まり購入。
 読み返してみた。

 20代の頃、難しい漢字が多く読破できなかった「春琴抄」。
 どころが改版を重ねた「春琴抄」を開くと。
 殆どの漢字にルビがふってあり、スラスラと読め読破できた!

 そして「検校」という言葉に考えさせられた。
 「検校」とは、盲人の職業を保護した制度であり、盲人にあたえられた最高の官名だ。
 今よりも多様でフラットな社会ではないか。
 そんなことを思った。

 今、政治は一億総活躍をいう。
 オリンピック・パラリンピックは4年後だ。

 少しでも皆が共感できる政治を。
 桜に寄せる思いは皆同ではないか。

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by eguchi_gisyu | 2016-04-01 01:47 | 随想
2015年 11月 24日

フランス

 フランスのことを丁寧語を使い「御フランス」などという。いい響きだ。
 「御イギリス」や「御アメリカ」ではどうも語呂が悪い。

 映画が好きな僕にとってフランスは憧れだ。
 ゴダール、トリフォー、べネックス、カラックス…
 好きな映画監督ばかりだ。
 それに、フランス現代思想は僕を導いてくれた。

 そんなフランスで同時多発テロが起きた。

 千年の間、ヨーロッパの思想と政治は宗教が支配していた。
 しかし、民衆はフランス革命により自由と平等を勝ち取り、政治は宗教の束縛から解放され政教分離を成し遂げた。

 そんなフランスで同時多発テロが起きた。

 テロリズムの語源は「Terror:恐怖」である。
 有志連合による空爆もまたテロということだろうか。
 恐怖の連鎖は終わらない。

 政治と宗教は分離できた。
 でも思想と宗教は分離できていない。(できない?)
 もし思想と宗教を分離すことができれば、テロはなくなるのではないか。

 そして、それを分離する人道的な方法は、まさにフランス革命の理念である自由、平等、友愛(博愛)ではないか。
 そんなことを思う。

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by eguchi_gisyu | 2015-11-24 02:35 | 随想
2015年 11月 10日

よい友と

 藤原更と宮脇誠はよい友だ。
 花の仕事をはじめ、ふたりの友の名にそえて僕の名が呼ばれることが多くなった。
 ありがたい。

 顧ればふたりとの付き合いは20年を超える。

 更はコマーシャル・フォトグラフの分野から美術家へと転身し、今では海外の企画展やアートフェアーで数々の作品が紹介されている。
  → http://www.sarah-f.jp/

 誠は単身フランスに渡り、自らの足と目で古道具屋の道を切り開き、今では東京目黒で「miyawaki modern」という古道具屋を営んでいる。
  → http://miyawaki.biz/

 ふたりの閲歴を語るには、僕はこの20年の間、あまりにも安逸に耽っていた。
 でも今は、よい友とよい仕事ができる。
 そんな縁を僕は幸とする。ありがとう!!

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by eguchi_gisyu | 2015-11-10 13:49 | 随想
2015年 09月 28日

観月

 今夜(9月27日)は中秋明月。

 明恵上人は、月そのものを三十一文字で連ねた。
 「あかあかや あかあかあかや あかあかや
  あかあかあかや あかあかや月」

 ただ素直に言葉を重ねている。
 この「ただ」の心になること。

 僕も、ただ、ためらいなく、さっと、
 そして、思いを重ねるように花をいけたい。

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by eguchi_gisyu | 2015-09-28 02:11 | 随想
2015年 06月 22日

到来

 万葉集巻一の持統天皇の歌「春過ぎて夏来るらし白栲の衣乾したり天の香具山」。

 風にゆれる白栲。
 今日はよく晴れ、白いシャツはよく乾いた。
 青空と白いシャツが清々しい。

 メルヴィルの小説「代書人バートルビー」。
 バートルビーの青白い肖像。
 生気に欠け、まるでリアリティーがない。
 色のない朝顔のようだ。

 今の僕にとっての朝顔は青白く色がない。
 つまり、リアリティーがなく生けることができない。

 今年は朝顔の形なき形を捉えることができるだろうか。

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by eguchi_gisyu | 2015-06-22 03:24 | 随想
2015年 04月 09日

いろんな問題/NO NUKES

 中東やクリミア情勢、格差や貧困、金融や資本主義のジレンマ等。
 人の思慮分別はいろんな問題を引き起こす。

 日本においても、被災地復興や原発、領土や安全保障等、問題は山積みだ。
 その中でも原発問題への取り組みは、被爆国である日本としての世界へのメッセージになるのではないか。
 だからこそ、この問題について先人に学び、考えなくてはならない。

 アインシュタインはナチスへの嫌悪からか、ルーズベルト米大統領に原爆開発を進言したが、実際に原爆が使われるとは思っていなかったであろう。

 量子論や原子核の理論を研究したハイゼンベルクは次の「荘子」の言葉を引用した。

  「有機械者、必有機事」
  「有機事者、必有機心」

 機事とは「巧詐」「策略」のこと。
 機心とは「巧む」心のこと。
 そして、時に機心は不安定な制御を引き起こす。
 そう、機心から生まれたものは時に制御できない。

 レイチェル・カーソンは春になっても鳥は鳴かず、花も咲かない春がやがて来るだろうと環境問題のさきがけとなった「Silent Spring」を書いた。
 そんな春にならないためにも、時に制御できない原発をどうする?

 オバマ米大統領はチェコで核廃絶を宣言した。
 未だ廃絶には程遠いが、メッセージは必ず受け継がれると信じる。
 例えば、キング牧師の「I have a dream」という公民権運動のメッセージは、マルコムやマンデラに受け継がれた。
 また、キング牧師の徹底した「非暴力主義」による運動は、ガンディーに啓蒙され、ガンディーから受け継いだものだと思う。
 そして、アインシュタインもまた、広島・長崎への原爆投下の報を受け、物理学者ではない一人の人間としてガンディーに傾倒していったいう。

 人の思慮分別はいろんな問題を引き起こす。
 でも、機心ではない純粋な心からのメッセージは、時代を超え皆が共有するメッセージになると僕は信じる。

 「原発ゼロへ!」というメッセージを。
 そして、核廃絶を。
 (近い未来の現実を考えると、抑止力も含めた調和こそが平和であると思うが)

 NO NUKES
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by eguchi_gisyu | 2015-04-09 11:36 | 随想
2014年 06月 28日

集団的自衛権

 このブログにおいて政治に関わる発言は慎みたいが、集団的自衛権は今後の日本のあり方を示すものだと思いますからあえて述べます。宜ししければお付き合いください。

 集団的自衛権を「てにをは」や切れ字などの助詞の解釈で論じるのは非常に危ういと思う。

 そして、集団的自衛権を論じ、且つその業務に携わる方は、助詞の使い方について深く考察した富士谷御杖の「脚由抄」を読んでほしい。(この本、読んでほしいといいながら、僕にとっては難しい)

 平和国家を目指す日本。
 抑止力も含めた調和こそが平和であると信じる私。

 「てにをは」や切れ字の解釈が良き方向に進むことを願う。
 それは、白漫々とした日本の未来でありますように。

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by eguchi_gisyu | 2014-06-28 00:26 | 随想
2014年 06月 16日

随想/風

 風興、風姿、風流、風狂、
 風にまつわる熟語はカッコイイ!

 また、花道の古典には「野分の花のこと」や「吹分の花のこと」があり、
 花にとって風は重要なアイテムである。
 そして「風雅」。この言葉は僕の憧れである。

 日本おける風雅には三つの意味がある。
  「みやび」王朝風の雅。
  「風に任す」芭門(芭蕉)の雅。
  「万巻の書を読み、千里の道を行く」文人墨客の雅。

 どの雅をゆくも、風をうけ大海を彷徨う舟である。
 そもそも庶民の僕は「みやび」ではない。
 さすらい、旅を住処とする芭蕉。とてもマネできない。
 万巻の書、いやいや千巻の書がいいところだろう。

 ま~ネガティブなリストをあげてもしかたがない。
 そこで、今の世の資本主義社会の雅を考えると。

 ブルジョアの白色でもなく、プロレタリアの赤色でもない、
 無色(何色にもなる)こそが、平成の雅ではないだろうか。

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by eguchi_gisyu | 2014-06-16 20:00 | 随想
2014年 05月 18日

源実朝

 実朝にとって、歌は慰めになっただろうか。

 実朝が8歳のとき、父頼朝が死ぬ。
 それは陰謀と暗殺の始まりであった。
 梶原景時、畠山重忠、和田義盛 …
 次々に死んでいく。

 実朝の歌をひとつ。
 「散り残る 岸の山吹 春ふかみ 此ひと枝を あはれといはなむ」

 散り残る命。そして落ちる命。
 建保7年(1219年)1月、雪の鶴岡八幡宮。
 実朝暗殺。享年27歳。

 実朝の歌は鳥瞰することができない。
 「君が歌の 清き姿は まんまんと みどり湛ふる 海の底の玉」
 この子規の歌のように身体に沁みこみ沈む。
 そんな玉のような歌だ。

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by eguchi_gisyu | 2014-05-18 15:10 | 随想